不動産

遺産分割に際しての不動産の分割方法について

遺産分割に際しての不動産の分割方法について

遺産分割に際して不動産を分割するには以下の方法があります。

1 現物分割

文字どおり、不動産を相続分に応じて物理的に分ける方法です。1筆の土地が広い場合や、複数の筆の土地を有している場合に適しています。

2 代償分割

相続人のうちの1人または数人が不動産を取得し、他の相続人には見合う金銭を代償として支払うことで分割する方法です。この場合、不動産を取得した相続人は被相続人の取得時の購入価額と、当該不動産を売却する時点での売却価格との差額について、将来、不動産譲渡税を負担することになりますので注意が必要です。

3 換価分割

相続人のうちの誰も不動産を相続せず、第三者に売却して、その売却代金を相続人間で分配する方法です。この場合、各相続人が、相続分に応じて、被相続人の取得時の購入価額と、当該不動産の売却価格との差額について不動産譲渡税を負担することになりますが、相続人のうちの誰も当該不動産を使う予定がない場合、一番公平な分配方法といえます。

「負動産」の対応について

「負動産」の対応について

人口減少や少子高齢化に伴い、地方に行けば行くほど、誰も引き取り手がいないような「負動産」が多く見受けられます。

この「負動産」については、遺産分割に際して、その引取り費用などを考慮して、他の不動産と併せて分割するのが公平といえます。こうした「負動産」を扱う業者もありますが、なかには名目不詳な手数料だけを先に要求し、実際には名義を移転してもらえず課税関係だけが残る、といった悪徳業者も散見されますので、有償引取りを依頼される場合には契約書の精査が重要です。当事務所に遺産分割を依頼された場合には、このような契約書の審査も附帯サービスとして対応させて頂いております。

また、近時の法改正により、相続放棄した不動産については、放棄時に現に占有している場合のみ、引き続き、相続財産の清算人に当該不動産を引き渡すまでの間、当該不動産の管理責任を負うものとされています(民法940条1項)。被相続人が従前1人暮らししていた場合で、相続人の誰もが占有していないときは、放棄も選択肢に入れてよいと思います。

この他、やはり近時の法改正により相続土地国庫帰属制度が新設されましたが、境界が明らかではない土地や、建物がある土地については対象外となるなど、それなりにハードルが高いことから、制度の利用を考えられている方は、予め専門家にご相談ください。

権利関係が複雑な不動産について

権利関係が複雑な不動産について

登記名義が先々代のままになっていて、多くの相続人がいるが連絡がつかないといった状況の場合、当事務所より各相続人を調査したうえで、お手紙により遺産分割協議書への署名・押印を依頼することになります。お返事がない相手に対しては、遺産分割調停の申立をすることになります。

なお近時の法改正により相続開始の時から10年以上経過した後にする遺産分割については特別受益寄与分などを考慮せず、法定相続分に従い分割することとされました。

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